取引スキーム

FXのアルゴリズム取引とは

FXのアルゴリズム取引とは

コンピューターが自動で売買取引を行う「アルゴリズム取引」とは

パソコンとネットがあれば誰でもいつでも株や為替の取引ができるオンライントレードが人気を集めていますが、その中でもアルゴリズムにもとづいてコンピューターが自動で売買を行う「アルゴリズム取引」が徐々に人気を集めています。自動で取引が行われる便利さや、機械的な取引のために欲を出して利益をフイにするという失敗がないというメリットの一方で、バグによるダメージが発生することもあるアルゴリズム取引に参加している人の現状が紹介されています。

ネバダ大学リノ校に通い、カリフォルニア州にある病院「Tahoe Forest Health System」でネットワーク管理者を務めるMike Soule氏は、3カ月にわたり100時間という開発時間をかけて開発した外国為替(FX)売買システムを完成させました。このシステムは24時間・週5日間にわたり取引アルゴリズムにもとづいて自動でFX取引を行うシステムとなっており、Soule氏は趣味の一環としてこのシステムを自分で組み上げたとのこと。

オンライン・オフラインの両方でアルゴリズム取引の関心が高まっており、オンライン取引業者ではアルゴリズム取引プラットフォームを整備して顧客を招き入れる取り組みを進めるところや、アルゴリズム取引を解説するYouTubeチャンネルが多くのPVを集める状況も見られるとのこと。ジョージア工科大学のTucker Balch教授が開いたオンライン講座「Computational Investing」には17万人を超える受講者が集まっており、ニューヨークで開催されたアルゴリズム取引イベントで講演を行った際には、受講者からサインを求められるという一幕もみられたそうです。

そんなBalch教授の講座を見てノウハウを学んだAlexander Sommer氏も、アルゴリズム取引を開始した人の一人です。Sommer氏は仲間3人と手を組んでアルゴリズム取引システムの開発に着手し、実際に取引を実行しているとのこと。Sommer氏は仲間と共同で20万ドル(約4500万円)の資金を運用し、アメリカのS&P 500やNASDAQの銘柄で取引を行っているそうです。

JPモルガンチェース、次世代型FXアルゴリズム取引ツールを開発

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電子FX市場【以下、eFXと称す】において、アルゴリズムを用いた取引手法が進化を遂げる中、米国大手投資銀行であるJPMorgan Chase & Co.(本社:270 Park Avenue New York, NY 10017 [1] )【以下、JPモルガンチェースと称す】が、機械学習(Machine Learning, ML)を活用した次世代型のアルゴリズム取引ツールであるDNA(Deep Neural Network for Algo Execution)を開発したことが明らかになった。

シンプルなアルゴリズムから、より洗練された投資戦略へと進化を遂げたことにより、クオンツ取引が多用されると共に、投資家は数学理論に基づくプライシングモデルを積極的に利用するようになった。また、為替トレーダーにとって従来より大きな課題となっていた大口注文時のスリッページを解消し、市場インパクトを軽減するために、注文を小口化することで、より有利なポジションを保有する戦略を用い始めている。そして、最新のアルゴリズムを活用した取引手法としては、大口注文を異なる時間帯に分散させて取引する時間加重平均(Time Weighted Average Price, TWAP)アルゴリズムが挙げられる。また、日中の出来高に応じて大口注文を分割したうえで適当な時間間隔で取引する出来高加重平均(Volume Weighted Average Price, VWAP)アルゴリズムは、より一般的に用いられる手法となっている。現在では、eFX業界の主要リクイディティプロバイダー(流動性供給業者)の顧客が、これらのアルゴリズム取引への関心を高めていることから、金融機関も市場インパクトを軽減させる一連のアルゴリズム取引サービスを強化している状況だ。

そのような市場環境下において、JPモルガンチェースではFX市場の顧客を対象として、DNAを活用したFX取引サービスの提案を行っている。同社のマクロeコマース部門ヘッドを務めるChi Nzelu氏は、DNAには大口注文の市場インパクトを軽減させることを目的として、異なる市場環境における類似データを活用し、最善の取引手法を提案する最適化機能が付帯されているという。また、機械学習の一種である強化学習(Reinforcement Learning)を用いることで、個々の取引パフォーマンスを評価する機能も備わっているとのことだ。JPモルガンチェースは、現状DNAの活用によって既存の取引戦略手法の改善に繋がるケースは限定的であるが、将来的には様々な市場環境に対応したアルゴリズム取引手法の開発を目指すとコメントしている。

加えてJPモルガンチェースは、従来、人間が開発したプログラミングやルールを徹底した取引手法とは大きく異なり、よりロジスティクなアルゴリズム取引を実践すべく、データの相似性に基づく強化学習を活用したDNAを開発したという。これにより、DNAは仮に様々な障害に直面したり、現在用いている投資戦略が有効でなくなったとしても、アルゴリズム自らが市場環境に応じた最適な取引手法を見出すとのことだ。JPモルガンチェースのDNA開発チームの主席ストラテジストであるSam Nian氏によると、DNAを含む人口ニューラルネットワークは、脳機能にみられる特性に類似した数理的モデルであり、複雑な環境においてもモデリングを可能とするという。また、同社の別の主席ストラテジストであるTanya Tang氏は、DNAの強化学習においては、回帰分析や教師あり学習(Supervised FXのアルゴリズム取引とは Learning)、人間が策定した取引ルールなどに従う代わりにより柔軟性があり、人間のバイアスを取り除いた取引手法を用いることができると説明している。なお、 JPモルガンチェースは独自仮想通貨 を開発したり、更に JPモルガンチェースはイーサリアム向けプライバシー機能 を開発するなど、最先端テクノロジーを活用した画期的なソリューションの提供を試みており、今後も業界の勢力図を一変させるような新商品の開発を期待したい。

release date 2019.08.23

ニュースコメント

世界を席巻するアルゴリズム取引

アルゴリズム取引とは、コンピュータープログラムが為替の値動きや出来高などに応じて、自動的に売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引手法のことだ。現在では欧米を始め、日本国内の機関投資家の間でも広く普及している。これらの大口注文をこなす機関投資家にとっては、市場において他社以上の運用パフォーマンスをあげるために、いかにして自身の取引が市場に与える影響を抑えるかが非常に重要な課題となっている。そのため、JPモルガンチェースを始めとする多くの金融機関にて、VWAPやTWAP、平均取引価格を終値に近づけるMOC(Market On Close)、市場インパクトと取引タイミングコストを最適化し一定時間内に取引を完了させるIS(Implementation Shortfall)といったアルゴリズム取引手法の開発が積極的に行われると共に、注文のシステム化が図られている状況だ。アルゴリズムを用いた取引手法の一つである高頻度取引(HFT)は、世界一の金融市場である米国において、約定株数ベースで約50%を占めるまでに利用拡大しているほか、2019年の年初に 日本円がフラッシュクラッシュ した際も、HFTが市場の価格変動を高めたとして、その影響力が拡大していることがうかがえる。今後も、最良執行を目指す機関投資家からの高い需要を背景に、金融機関によるアルゴリズム取引手法の開発競争は激化するものと予想される。

アルゴリズム取引の正体

アルゴリズム取引の正体

立つアルゴリズムの基本書、本邦初登場!
本書で解説しているアルゴリズム取引戦略(抜粋)
◇執行アルゴリズム
・ヒドゥン・オーダー
・アイスバーグ
・ペギング
・ステルス



◇ベンチマーク執行アルゴリズム
・VWAP(Volume-Weighted Average Price)
・POV(Percentage of Volume)
・PI(Price Inline )
・MOC(Market on Close)
・IS(Implementation Shortfall)



◇マーケット・メイキング・アルゴリズム
◇裁定アルゴリズム
・統計的裁定

・ FXのアルゴリズム取引とは

◇ディレクショナル・アルゴリズム
・トレンドフォロー
・モメンタム・トレーディング
・ミーン・リバージョン
・ニュース/イベント・ドリブン



◇市場操作系アルゴリズム
・スプーフィング
・フロントランニング
・クオート・スタッフィング
・ゲーミング


第1章 アルゴリズム取引とは
1-1 アルゴリズム取引とは/1-2 アルゴリズム取引の目的/1-3 アルゴリズムの種類/1-4 アルゴリズムの運用者/1-5 アルゴリズム取引環境の変化とHFT/1-6 アルゴリズム取引規制
第2章 アルゴリズム取引の市場環境
2-1 証券市場/2-2 証券取引所/2-3 証券会社/2-4 売買制度/2-5 FXのアルゴリズム取引とは マーケット情報/2-6 レイテンシー削減のための接続方式/2-7 不公正取引/2-8 アメリカの市場環境
第3章 市場取引におけるリターン、リスク、コスト、流動性
3-1 損益/3-2 リターン、コスト、リスク/3-3 流動性
第4章 アルゴリズム取引概論
4-1 アルゴリズム取引の目的/4-2 アルゴリズム取引戦略の大分類/4-3 アルゴリズム取引の利用形態/4-4 アルゴリズム構築手順の概要
第5章 アルゴリズム取引戦略
5-1 執行アルゴリズム/5-2 ベンチマーク執行アルゴリズム/5-3 マーケット・メイキング・アルゴリズム/5-4 裁定アルゴリズム/5-5 ディレクショナル・アルゴリズム/5-6 市場操作系アルゴリズム FXのアルゴリズム取引とは
第6章 HFT:高頻度取引
6-1 HFTの概要/6-2 HFTの定義/6-3 HFTのシェア/6-4 HFTのアルゴリズム取引/6-5 HFTが市場に及ぼす影響/6-6 HFTの規制
第7章 外国為替取引におけるアルゴリズム取引
7-1 外国為替取引の市場環境/7-2 株式取引アルゴリズムと外国為替取引アルゴリズムの違い/7-3 外国為替取引におけるアルゴリズム取引戦略/7-4 個人投資家からみたFX取引アルゴリズム
第8章 アルゴリズム取引の環境の変化と投資家の取組み
8-1 アルゴリズム取引の変化/8-2 プレイヤー別の対応状況/8-3 アルゴリズム取引の導入における課題と対策/8-4 個人投資家の視点から

FXのアルゴリズムってどんなもの?アルゴリズムの特徴を解説!

この記事の監修 株式会社インベストメントカレッジ 吉田健吾 累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介 .

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Dear Great Hackers

Qiita Zine

優秀なエンジニアは10億円プレーヤーも夢じゃない。個人投資家向けREST API発注環境「kabuステーション®API」の魅力とは

そんな同社が掲げる大きな目標が、「機関投資家と個人投資家のインフラ格差解消」。ここ10年を振り返ると、個人による株投資はあまり増えておらず、市場は機関投資家がメインと言っても過言ではない状況が続いています。英国金融当局のレポートによると、HFT業者(高頻度取引事業者)の先回り取引が個人投資家の取引コストを17%上げ、50億ドルの損失を世界全体に与えていると分析しました。
(参考:Financial Conduct Authority(C))

だからこそ個人投資家のパフォーマンス支援を強化すべく、同社は2020年8月に国内証券会社で唯一となる、個人投資家向けRESTful API形式(以下、REST API)での高速発注環境として「kabuステーション®API」をリリース。個人の多様な技術バックグラウンドやオープンソースコミュニティのナレッジ蓄積を活かした、オリジナルの投資アイデアによるシステムトレードが実現可能となりました。

プロフィール

より自由度の高い形の投資環境ニーズが、かつてない程に高まっている

――機関投資家と個人投資家のインフラ格差、肌感覚ですがとてもよくわかります。

齋藤: ネット証券20年の歴史の中で、この格差がどんどんと大きくなっている印象です。そのような状況ですので、個人投資家の皆様から「機関投資家の方がいい道具を使ってるんじゃないか」とか、「良い情報を持っているんじゃないか」と見えてしまってもおかしくないと思います。

――いつからこのような状況になったのでしょうか?

齋藤: ここ10年ほどで一気に加速したと思います。
株式市場と個人投資家と機関投資家、それぞれの距離感がかなり縮まってきたという自負があった時期もありました。具体的には2005年〜2006年頃、ちょうどライブドア・ショックの頃ですね。当時は東証のシステムが古く、注文を出しても返ってくるまで3分近くかかっていました。つまり、インフラ環境格差のパフォーマンスへの影響はさほどなく、機関投資家も個人投資家もスピード感的には変わりませんでした。

――なるほど。御社でもそれに合わせて、証券基幹システムを「kabu.com API」として2012年に公開されましたね。

齋藤: 金融サービスのオープンイノベーションの推進基盤として、様々な業態のサードパーティー事業者が、B2B2Cで個人投資家向けに色々な取引ツールを提供する環境を整備しました。kabu.com APIもシステムトレードによる自動売買が中心となっており、kabu.com APIを経由したお取引が相対的に好成績である状況が続いています。

裁量取引を中心とする既存チャネル(青線)と、kabu.com API経由の取引(赤線)の投資パフォーマンスの比較(各取引チャネルの年間実現損益(千円単位)÷稼動口座数にて集計 (2020年は7月20日まで))

REST形式だからこそ実現すること

――改めて、kabuステーション®APIについて教えてください。

齋藤: kabuステーション®APIは、当社のインストール型のトレーディングツール「kabuステーション」を介して、自由に資産運用・資産管理を実施いただけるソリューションです。kabuステーションがインターフェースを公開することで、個人投資家は独自のアルゴリズム取引を実施したり、ポートフォリオ管理を行うことができます。

――まず1つ目について、なぜRESTが大事なのでしょうか?

齋藤: こちらも主に2つの要因があるのですが、まず1つ目は、ユーザーの技術背景が多様化していることにあります。Web系や機械学習、データ解析など、技術バックグラウンドおよび学習言語が多様化していることから、REST形式による汎用性の高い実装が望まれました。

――REST以外のAPIではダメなのでしょうか?

齋藤: 例えば、FIX(Financial Information eXchange) APIのような従来型ですと、厳格なルールのもとで送受信両側のデータ解釈を合理化できるのですが、一方で「短時間で大量の金融データを送信する」という限定的な用途であることから、トレーディングで重要となる過去データの解析に利用できず、非金融のエンジニアには馴染みが薄いものとなってしまいます。

――なるほど。RESTが大切な理由、2つ目はいかがでしょう?

齋藤: 今のお話と関連するのですが、昨今の金融データ解析現場においては、Pythonが主流になっています。多様なマーケットデータを取り扱うトレーディング用の分析は、深層学習などで用いられているPythonコミュニティとのネットワーク効果、そして親和性が高いと言えます。

スキルレベルに応じた柔軟な組み方が可能

――REST APIの重要性についてよく分かりました。一方でお話を伺っていると、非常に高度なスキルをもった上級者だけが使いこなせるような印象なのですが、トレード初心者でも使いこなせるものでしょうか?

齋藤: もちろん、これまでお伝えしましたスクリプトベースでの提供方式に加えて、kabuステーション®API専用のExcelアドインも提供しています。ですので、普段の業務で使い慣れたマクロや関数など、Excelの諸機能を活かしてトレーディング環境を構築することも可能です。

――それは便利ですね。私のようなエントリーレベルでも十分に使えそうです。

齋藤: リテラシーの高い上級者からエントリーレベルの個人投資家まで、個人の開発スキルに応じた発注・コミュニケーション方式を提供しています。
また、それを支援するべくコミュニティ運営にも力を入れています。開発者ポータルでは、JavaScriptやPythonなどの主たる開発言語のサンプルコードを取得できますし、GitHub上のコミュニティで質問や要望のほか、投資ストラテジーやソースコードの共有もできます。

――GitHubでコードを公開・共有すると、ユーザーにとってはどんなメリットがあるのでしょうか?

齋藤: 基本的には第三者が作成したプログラムの実行は禁止しておりますが、プログラムを公開、他者がそれを参考に自身のプログラムを作成できるということで、APIがシンプルに利用できるような簡易APIを公開、利用することを想定しています。それによって、「アルゴリズム取引環境の構築」の敷居を下げる効果があるとも考えています。

――慣れていない方は、まずはサンプルコードをベースに組み立てて、お金をかけずにシミュレーションをしてみるのもありですね。実際にどんなユースケースがあるのでしょうか?

齋藤: お客様のお取引スタイルによって異なってきますね。
例えば、「監視銘柄がゴールデンクロス(これから相場が上昇傾向になるかもしれないという買いサインのひとつ)した場合に発注」というような独自テクニカル取引であったり、他の外部APIと連携して「要人の発言内容に応じて銘柄Aを購入する」といったAIを組み合わせたアルゴリズム取引の実施が考えられます。また、お客様独自の資産管理を実施するなど、幅広い利用用途が想定されます。

デジタルネイティブ世代の投資参入など、大きな変化があった10年

――今回リリースされたkabuステーション®APIについて、よくわかりました。プロダクト自体の構想は、いつ頃から持たれていたのでしょうか?

齋藤: 構想自体は、実は1999年の創業当初から描いていまして、本来ならば2012年にkabu.com APIをリリースしたタイミングに合わせて、翌年あたりを目処に個人投資家向けのAPIも出そうと思っていました。
ですが、売買審査や本人確認など、どうしても様々な段階を踏まなければならず、今のタイミングでのリリースになりました。
私としては「やっと出せた」という印象です。

――2012年というと、まだFinTechなんて言葉が日本にはなくて、金融領域でAPIを活用するなんて発想も、一種マニアックなアプローチだったと思います。何がきっかけでAPIベースのサービス開発を目指すことになったのでしょうか?

齋藤: 直接のきっかけではないのですが、創業時からプラットフォーマー思考だったことが大きいと思います。AWSのようなサービスのあり方をみて、今後は自分たちが資産としてシステムを持たずとも、クラウドのSaaS型が前提になる。そんな考えから、当社の場合はネット証券をスーパーアプリ(LINEなどの様々なサービスを統合したアプリ)などに開放していこうとなったわけです。

――kabu.com APIをリリースされた2012年と比較して、現在の投資環境をどのように捉えていらっしゃいますか?

齋藤: 個人投資家にまつわる環境という観点ですと、色々な変化がありましたね。何よりも、デジタルネイティブ世代が投資に参入してきたことが大きいと思います。特にコロナショック以降の相場で口座開設数が大幅に増加したのですが、その過半数が、20代〜30代のデジタルネイティブ層でした。

齋藤: あと、プログラミング人口の増加も大きいですね。
国内IT人材の育成ニーズの高まりを踏まえてプログラミング教育の市場規模は急拡大が続いていますし、国策としても、学校の新学習指導要領でプログラミング教育の導入が決まり、ITスキルの底上げが加速しています。
このように見ていくと、テクノロジーの重心がよりユーザーサイドへとシフトしていってると言えます。

HFT業者との格差解消への取り組み

――様々な背景を経て構築されたkabuステーション®APIですが、公開されるにあたって気を遣われたポイントはどこでしょうか?

齋藤: 多数のユーザーが自由にAPIにアクセスできるソリューションであり、意図しないシステム負荷やリクエストを受けることが想定されたため、その対策に時間を注ぎました。また、ユーザーがAPI利用によって意図とは反した注文を行うリスクを最大限削減することにも注力しました。

――自動売買できるが故に、意図しない注文が大量になさたら大問題ですからね。

齋藤: あともう1つ、このkabuステーション®APIリリースに照準を合わせて、当社の高速発注基盤である「RAIDEN」をJPXコロケーションエリアに移転して、取引所システムへの近接化による超高速化を実現しました。

――どういうことでしょうか?

齋藤: 投資家の株の注文は東証ビルの外で処理されているのですが、個人投資家に対してHFT業者はコロケーションを利用するので、取引の執行環境に格差がある状況でした。
今回の移転によって、主要な取引所やSOR業者とデータセンター内での構内接続が可能になるので、より高い信頼性と高速化が実現し、個人投資家でもHFT業者と同等の環境で取引ができるようになるということです。

老若男女問わず、個人でも10億円プレーヤーを目指せる世界

――今後のkabuステーション®APIの展望を教えてください。

齋藤: 今はシステムがクライアントインストール型なのですが、今後はWebブラウザベースのクラウド型にしていきたいと思っています。
これによって、特定の場所にとらわれずに、より自由に取引を行えることになるでしょう。

だからこそ、今のうちに「自分のための開発」に時間を使い、お金を増やすことに充当してみてはいかがでしょうか。20代の若い方から60代の定年退職者まで、老若男女問わず、個人でも10億円を目指せる世界です。
せっかくですので、ぜひQiita Zine読者から、10億円プレーヤーが出てきてほしいと思います!

kabuステーション®APIの概要

項目 概要
対象商品 国内株式(現物・信用)、先物・オプション取引(2020年10月予定)
利用料金 無料※
提供API 情報系:時価情報、銘柄情報、4本値、板情報
発注系:成行・指値(IOC・SOR)等
参照系:注文照会、約定照会、残高照会
API形式 REST(発注系・参照系)、PUSH(情報系)

※kabuステーション® Fintechプラン以上の適用となること(信用口座開設かつ前月1回以上の取引にて無料)
※kabuステーション®APIのご利用には口座開設が必要です

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